オーダーメイドの最高級スーツをつくるテーラー(注文紳士服製造)の仕事に就くためには?
男性の背筋がキリッと引き締まってみえる装いといえば、自分の身体にフィットした上質な「スーツ」を着こなしているときではないでしょうか。
少し前までは敷居が高いといったイメージがあったオーダーメイドスーツも、いまでは着るならより質の良くて長く大事に着たいという強いこだわりを持つ顧客が増えたことにより、より身近な存在として重宝されるようになってきました。
こういった顧客の強いこだわりを形にするのが、注文紳士服の製造を専門にしている「テーラー」という存在です。
目次
テーラーとは?その仕事内容について
オーダーメイドの紳士服をデザインし、生地を選び、採寸し、型紙を作り、裁断、縫製し一つの服を作り上げていくのが「テーラー」の仕事です。
◎世界に一つだけの洋服を仕立てる仕事
あらゆる紳士服のデザインを手がけるテーラーは生地の素材やそれを着る人の身体の構造などを総合的に踏まえ、世界に一つだけのオーダーメイドの洋服を仕立てます。
◎よりセンスと知識、技術が必要とされる!
紳士服は、婦人服、子供服などにくらべて仕立てがより難しいといわれます。そのため、服飾系の専門学校や大学で服飾についての知識や技術をたくさん学ぶことはもちろんのこと、紳士服のエキスパートになるための高いセンスと努力が必要な仕事です。
テーラーになるには
テーラーに必要な資格や技能について
テーラーになるための必須資格はありません。
必須資格はありませんが、紳士服を一から作る一流のテーラーとしての知識や技術を証明するには、持っていたほうが有利に働く資格もあります。
・紳士服製造技能士・・・など
紳士服製造技能士・・・国家資格でもある資格であり、キャリアアップのため、そして一流テーラーとしての評判を上げるためにも有効な資格です。
テーラーに必要な資格や技能の取得難易度
国家資格である紳士服製造技能士には。1級と2級、特級があります。紳士服製造に関する学科試験と実技試験が行われます。
1級2級については紳士服の一般な知識をはじめ、製造に必要な材料や色彩、そして衛生などについて幅広く出題されます。実技では製図をしたり、持参した服に袖や肩を入れたりという作業も試されます。
基本的には実務経験のある人が受験する試験なので実践レベルの技量を持つことが求められます。
◎テーラーになるために海外留学するという選択肢もある
服飾については専門学校や大学で服飾の知識と技術を学びますが、ブランドや紳士服メーカーに就職できたとしても実際に紳士服を作れるまでには最低でも3年はかかるといわれています。
日本の専門学校や大学を卒業したあとにもっと勉強がしたいという人が、海外の有名な学校に入りなおすということもよくあります。現状に納得せずいつまでも学ぶ姿勢を持ち続けたテーラーを目指すことが大切です。
テーラーの平均給与はどのくらい?
テーラーの平均初任給は、17~20万円ほどです。
企業テーラーであれば勤続年数を重ねれば少しずつ給与も上がりますが、一番はヒット商品を生み出すことで出来高での給与アップが見込まれます。
◎固定の顧客が増えれば経済的に安定しやすい
独自ブランドを開業してフリーランスのテーラーとして紳士服メーカーやブランドと専属契約を結べれば、売れっ子テーラーとなり収入も増えそうです。しかし、そういった成功者はテーラーのなかでもごく限られた人だけですので、じっくりと時間をかけて固定のお客さまを獲得していくことが収入を安定させるためには大切なことです。
テーラーのやりがいや苦労
テーラーのやりがい
・顧客に喜んでもらえたとき!
仮縫いまでの作業をテーラーがして、そのあとの本縫いは縫製職人(ソーイングスタッフ)に任せるといったこともありますが、すべての工程をテーラー自身で請け負うこともあります。
なにもない状態から一つの洋服をつくりだすということは、時間も労力もかかる大変な仕事です。そのため、作業を続けていればそれだけ一つの洋服に対しての思い入れも深くなりますし、実際に着用してもらい「顧客の喜んだ姿をみること」はやり遂げたことへの達成感や、がんばって良かったという大きなやりがいを感じることができます。
・重圧を感じると同時に自身の仕事を誇らしく思える!
紳士服業界で評価されて、紳士服メーカーやブランドの専属テーラーに抜擢されるとこれまで以上に責任重大な立場になります。こういった重圧のなかで作った服が実際に店頭に並べられる姿をみると「自身の仕事を誇らしく」感じることができます。
・夢は大きく!実力が認められれば海外進出の道も開ける!
テーラーとしての仕事が日本国内で認められれば、海外進出といった将来もみえてきます。専門学校でテーラーに必要な知識やスキルを学び卒業したあとは就職が控えていますが、下積みの期間はとても長くて自分一人で洋服を作るに至るまでは時間がかかります。
下積み生活を送るうえで確実に実力を延ばすことができれば、努力の日が身を結ぶ頃には素晴らしい一着をつくれるようになっているでしょう。努力を重ねた分、これまでの苦労以上に大きな達成感を味わうことができるでしょう。
テーラーの苦労や大変なこと
・専属契約できるテーラーは一握り
テーラーとして成功して専属で仕事を受けられる一はごくわずかです。多くのテーラーはメーカーや企業に勤める企業テーラーであるため、需要がないとたいへん厳しい状況に追い込まれます。
・顧客がつかないと経済的に安定しない
高級仕立ての紳士服を開業したフリーのテーラーの場合は、顧客が少なく高級仕立ての紳士服を作るだけでは「生計が立てられない」ということもあるようです。そのため、低価格の紳士服や女性向けのフォーマルウェアなども同時に手がけているテーラーもいます。
・景気に影響するテーラー
高級紳士服を仕立てるテーラーは、「景気の動向に影響する仕事」であるといえます。
景気の衰退による影響で低価格の服が売れ出すとテーラーが士立てる高価な紳士服の売り上げは一気に冷え込み、テーラーを目指す若者が減少することも懸念されています。
・根気が必要なテーラーの仕事
テーラーが作る紳士服は顧客からOKがでるまでに3カ月以上かかることも珍しくないので、テーラーになるには「根気と粘り強さが必要」です。季節によって購買率も違うので、紳士服の繁忙期であれば残業が当たり前で、納期に合せるために毎日忙しく働くことになります。
テーラーになるための適切な専門学校の選び方!
テーラーになるためには、服飾系の大学や専門学校で学ぶことが一般的です。
紳士服だけでなく、洋服全般に関する知識や技術を深めておけば、将来進みたい道を選ぶときにも視野が広くなります。
テーラーになるための適切な専門学校の選び方ポイント
・就職に有利な学校であるかどうか
紳士服をはじめとした縫製技術を専門的に学ぶことができる学校などもありますので、将来進みたい道が決まっている人はこういった専門学校を選ぶのがおすすめです。有名なテーラーがいるブランドに就職できたという卒業生がいる学校であれば、さらに良いでしょう。
・老舗テーラー開校の学校や夜間学校
老舗テーラーが開校している学校もあります。さまざまな情報を収集して、目的に合った学校選びをすることが大切です。また、もともとデザインを勉強していた人がテーラーになるといったケースもあるので、ほか仕事をしながら夜間学校に通うといった勉強法もあります。
量よりも質にこだわる人が多くなったことから、最近ではこれまでは敷居が高いと思われていたオーダーメイドの紳士服を仕立てる方が増加しているようです。
海外では気品が高く上質な生地をつかい、顧客一人一人の身体にマッチした上品な紳士服を製作する紳士服職人も多くいます。日本でも紳士服を仕立てるテーラーの存在はとても貴重であり、一生大事にできる世界に一つだけの洋服をつくれることに誇りをもったテーラーが多くいます。
テーラーになりたいと思っている方は今からでも決して遅くはないので、ぜひ今回の内容を参考に最高のテーラーを目指して夢を叶えてください。