アパレルメーカーに関連した職業を探していると「MD」という文字を見つけることがあります。これは「マーチャンダイザー」という職種の略語で、企業ではマーチャンダイジングと呼ばれる商品化計画部門を主に担当しています。
ショップの販売スタッフ、それに営業やバイヤーとして活躍して経験を積んでいた人が、マーチャンダイザーに転身することも珍しくありません。
それでは早速、マーチャンダイザーという仕事について、そしてどうやったらマーチャンダイザーになるのかということを中心にいろいろとご紹介します。
目次
マーチャンダイザーとは?その仕事内容について
「マーチャンダイザー」は、アパレル商品を企画して商品化する、すなわちマーチャンダイジングをすることが仕事の職種です。
マーチャンダイジングでは、市場調査をしたうえで商品企画をはじめて、ほかの部署と共同で素材やデザインなどの検討をして予算や販売計画などを立てます。
◎リーダーシップが必要なマーチャンダイザー
総括的な立場のマーチャンダイザーは、商品の企画や宣伝、広告の製作、イベントへの参加、販売戦略としての仕入れ量や販売価格の設定などの工程を大勢のスタッフと協力して進めるためのリーダーシップをとります。
◎縁の下の力持ち的な存在
ファッションについての深い知識や、時代の流行を敏感にキャッチする力、顧客のニーズを抑える洞察力などを併せ持つマーチャンダイザーは、企業の全てを把握しコントロールする、いわば縁の下の力持ちのような存在です。
マーチャンダイザーに必要な資格や技能
マーチャンダイザーになるために必要な資格は特にありません。
それでも、ファッション業界で活躍したいという人は、実力を証明するために資格を取得するのがおすすめです。すでに働いている人もキャリアップのためにと、資格を取得する人も多いようです。
・ファッションビジネス能力検定
・ファッション販売能力検定
・色彩検定
・ビジネス能力検定・・・など
マーチャンダイザーに必要な資格や技能の取得難易度
ビジネス能力検定の1級~3級まである試験は、だれでも受験することができるため学生や社会人など幅広い年代の人が挑戦しています。最も難しい1級の合格率は2割ほどであるため、とても難しい試験です。
資格のほかにマーチャンダイザーに必要な技能とは?
マーチャンダイザーの仕事は、常に数値に追われるむずかしい仕事です。
商品計画をしっかり練っていても、その通りにうまく進むことはあまりなく、売り上げなどの動向によっては計画を見直す必要があります。どんなときにも臨機応変に対応するノウハウを養うためには、とにかく経験を積むことが大切です。
新入社員として入った人が急にマーチャンダイザーとして働くことはありません。販売員や営業などの職種で働いているあいだに、どれだけ多くの知識やスキルを修得できるかどうかがマーチャンダイザーとなったときに結果として現れてくるのです。
アパレルメーカーや企画メーカー、繊維会社などで働くマーチャンダイザーは、企業全体を掌握している凄腕のスタッフにしか任せられない重要なポジションです。
商品企画以前に、市場調査をもとにどのような商品が消費者に求められているのか、商品の製作にかかる費用やリスクの有無、売れる見込みはどれくらいあるのかなど、最初から最後までを計画的に、そして総合的に考えて物事を進めていきる高い能力が必要になります。
マーチャンダイザーの平均給与はどのくらい?
アパレルメーカーや繊維メーカーなどで販売や営業、デザイナーなどの仕事を経験しながら将来的にマーチャンダイザーを目指す人もいます。
企業に就職する人の初任給は18~20万円ほどで、役職が上がることにより給与も上がっていきます。
◎企業により給料はマチマチ
経験値や業績が認められて念願のマーチャンダイザーになると、企業内での評価が格段に上がることから月収が40万円以上になる人が多くなります。また、働いている企業によっては月収100万円以上ということもあります。
マーチャンダイザーのやりがいや苦労
マーチャンダイザーのやりがい
・商品が大ヒットすることが喜びであり達成感につながる!
商品を製作するうえで、すべての作業に関係しているマーチャンダイザーというポジションの仕事量はとにかく膨大です。
会社に信用されている分だけ仕事の量も多く、責任重大でもありますが、担当した商品が爆発的なヒットを記録して企業に大きな利益をもたらすことができたときは、マーチャンダイザーとしてこの上ない喜びであり、達成感につながります。
・予算のなかで消費者のニーズに応えられたとき!
商品を企画するときに、あらかじめ使える予算が決められていることがあります。その決められた予算の中で消費者に求められているモノを作り出せるかどうかは、マーチャンダイザーの腕の見せ所でもあります。
常に市場の動きや求められるニーズを把握することが大切ですし、商品を製作するにあたり素材やデザイン、さらには販売計画を正しく組み立てることが大切です。
低予算の中で最高の商品を作り上げ、売り上げを高くすることに強いやりがいを感じるマーチャンダイザーもいるでしょう。
マーチャンダイザーの苦労や大変なこと
・膨大な仕事量と大きな重圧がかかる
信頼されているマーチャンダイザーであるほど、任せられる仕事量も多くなります。大量の仕事を何もいわずに淡々とクリアしていく姿は、会社の中でも一目置かれる存在です。
しかしその反面、大きな重圧やプレッシャーを抱えている人も多く、売り上げが悪いときにはひどく悩むことも多いでしょう。売り上げが伸びないときには何か問題があり、改善点を見つけていかなければならないため、商品を発売したから終わりという単純な仕事ではありません。
・スムーズに進むような仕事はほとんどない
マーチャンダイザーの仕事は難なくスムーズに進むことはほとんどないため、どのような状況にも瞬時に対応していくことが大切です。
商品計画を立てて商品ができあがるまでは、何度も計画を練り直して、必要であれば市場調査などの作業を一からやり直す必要があります。繰り返しの作業を諦めることなく、辛抱強く進められる我慢強さを持つことがマーチャンダイザーには必要なことといえるでしょう。
マーチャンダイザーになるための適切な専門学校の選び方
マーチャンダイザーになるには、ファッション系の専門学校で学ぶほか、経営学やマーケティングなどのビジネスを幅広く学べる大学や短大に進学するのがおすすめです。
◎マーチャンダイザーのほか色々なスキルを習得することが大事
クリエイティブな職種ではないにしろ、ファッションについての深い知識をもっていたほうがプラスに働くため、ファッションを中心に学べる専門学校で勉強することは将来的に大きな強みになるはずです。
経営学やマーケティングなどを学べる大学や短大を卒業していれば、アパレル系企業をはじめ、多様な職種への道が開けてきます。学校での勉強のほか、学生でも受けられる資格も多いので積極的に挑戦してみましょう。
マーチャンダイザーはリーダーシップが必要な職業です。商品計画を作成、進めるにあたり様々な方面のスタッフと作業を共にするからです。物怖じせず積極的に意見を伝えられることや、理にかなった発言をする説得力も必要です。
ファッションに関係する資格の取得はもちろん、ビジネスについて幅広い知識を養うための資格も取得しておくと良いでしょう。
マーチャンダイザーという仕事柄、デザイナーや営業、販売員、バイヤーなどの多種多様なポジションの人たちと共同作業をします。そのため、リーダーシップをとることができる人や周りのスタッフが憧れを抱くような存在になれる人ほどマーチャンダイザーという職種に向いているようです。