日本の伝統衣装の着物を美しく着付ける仕事!着付け師になるまえの心得
人生ではじめて日本の伝統衣装である「着物」を身にまとうのは、早いときで初節句のときでしょうか。そのあとにも、七五三や成人式、結婚式、子どもの入園式や入学式、卒業式、さらには個人的に催しやパーティーに参加するときに着物に袖を通すといった方も多いのではないでしょうか。
日本で古くから伝わる民俗衣装である着物ですが、現代では普段の生活では洋服を着ている人が多いため、自分自身をはじめ、人にも着物を着付けられる人はそれほど多くないようです
着付けできない人が増えているそんな時代のなかで、大活躍しているのが今回ご紹介する「着付け師」という職種なのです。
美しい着物をさらに美しく着こなせるかどうかは着付け師の腕にかかっています。そんな美を追求することができる着付け師になるには一体どうしたら良いのでしょうか。
目次
着付け師とは?その仕事内容について
日本の伝統衣装である着物を一人で着られない人に着付けてあげる人のことを「着付け師」といいます。
結婚式や成人式、お葬式、卒業式や七五三、パーティーなどで着付け師の姿をみないことはありません。着付けの技術やセンスだけでなく着物に関する知識、柄や帯、生地の種類、そのほかの小物類などの専門的な知識を要する仕事です。
◎専属の着付け師や呉服店で働く着付け師など活躍の場は多数
結婚式会場や美容院などに専属の着付け師として契約している人もいれば、呉服屋で働く人、そのほか芸能の仕事をする有名人の着付けをする人など、着付け師を必要とする職場はたくさんあります。
着付け師になるには
資格のほかに着付け師に必要なスキルとは?
着付け師になるために、絶対に必要といった資格はありません。
しかし、資格を持っていることで結婚式場や美容院などへの就職に有利に働くこともあるので、できれば積極的に着付けに関する資格をとることをおすすめします!
着付け師になるために取得しておいたほうが良い資格や検定は以下を参照ください。
・着付け技能士
・きものコンサルタント
・着付け講師認定・・・など
着付け技能士・・・自分以外の人に着物を着付ける「他装」の技能を向上させて、発展させることを目的とした資格です。着付けに関する専門知識や技術を同時に習得できます。
きものコンサルタント・・・社団法人全日本きものコンサルタント協会が実施する試験で、着物文化のスペシャリストとしての知識と技術を認定される試験です。
着付け講師認定証・・・お客様に着付けをする仕事のほか、スクールを開講して着付け指導をするために必要な認定試験です。
着付け師に必要な資格や技能の取得難易度
着物の着付け技術は、一般的に着付けの授業がある専門学校や着付け学校などで学ぶことが多いため、独学で学ぶのは困難です。
未経験者が試験を受けるには、実践作業を経験できる専門学校などでしっかり学ぶことが大切ですし、学校で与えられた課題をきちんとこなして、カリキュラム通りに勉強していれば合格圏に入ることができるでしょう。
国家試験の着付け技能士試験は、1級が実務経験5年以上、2級は実務経験が2年以上と受験条件がありますが、学校によって実務経験が免除されることもあります。
着付け師の平均給与はどのくらい?
着付け師の給与は、勤務する職場や仕事の内容(着付けメイン、着付け講師など)により違います。結婚式場などの正社員や、独立して働く着付け師のケースでは、月給が15万~20万円ほどとも言われています。
◎常連のお客さんが増えると収入が安定する
フリーランスとして働く人は、美容院や冠婚葬祭の式場などと契約を結ぶことで収入アップが期待できます。着付け師としてのキャリアが長い人やベテランの着付け師になると、抱え込みのお客さんがついていることがあるので、収入も一般の着付け師と比べると遥かに高額になりますし安定してくるでしょう。
着付け師のやりがいや苦労
着付け師のやりがい
・日本の伝統衣装を世界に発信できる担い手!
着付け師は、着物の専門知識や着付け技術をあることはもちろんのこと、「世界に誇れる日本の着物文化を仕事にすること」に大きなやりがいを感じることができるでしょう。
着物は季節によって選ぶ柄や生地、帯の種類などもさまざまですし、着る人によって着物を羽織ったときの印象がガラっと変わることもあります。そのため、どんな状況でも臨機応変に対応して、その人の魅了を引き出すくらいの美しい着付けを追求していける人ほど着付け師という仕事に向いているといえるでしょう。
・トラブルが起きたときこそ着付け師としての力の見せ所!
お客さまがレンタルショップから借りてきた着物は、セットが揃っていなかったり、サイズが合っていなかったりというトラブルの原因になることもよくあります。
そのような状況でも、不足しているものは自分のセットで対応する、サイズの違いは着付けの技術力でカバーするなど、トラブルが起きたときこそ着付け師としてのスキルが試されるときです。
・着付け師としてのセンスや技術を発揮できる職場!
着付けを学べる専門学校に通うこともできますが、小さなころに家族から着付けの技術を教えてもらい技術を習得したという人もまた、「センスと技術」が伴っていれば、着付け師として活躍できるチャンスがあります。
平日は異なる業種で仕事をしている人が土日や祝日の時間を利用して、フリーランスの着付けとして働いていることもあります。
・お客さまに喜んでもらい感謝の言葉を受けたときは大きな喜び!
着物を着付けた人から「きれいに着付けをしてくれてありがとう」と感謝されること、いろいろな想いに溢れた人生の節目に立ち会えることは着付け師の仕事の最大の魅力ともいえます。
着付け師の苦労や大変なこと
・スキルアップが欠かせない仕事
着付けの仕事は着物についての専門知識や技術があることは大前提ですが、ほかの着付け師よりも一歩前をいく存在になるためにはスキルアップを常に意識することが大事です。長期間着付け師を続けていても着付けの技術が足りない、それにセンスがないと言われれば、着付けをしたお客様からのクレームにつながってしまうこともあります。そうともなれば、評判が落ちますし、その後も着付け師として活躍することは難しいでしょう。
・完璧な着付けを求められるプレッシャーの多い仕事
着物をよく着る人や着物に関わる人からみれば、着付けの良し悪しは一目瞭然といわれています。
一生に一度、着物を着るか着ないかという人にとっては、その一回が「完璧な着付け」であって欲しいと思うものです。そのため、つねに完璧な仕事を求められる仕事であることに、大きなプレッシャーがかかることがあります。
それでも、練習をした分だけ自信がつき、重いプレッシャーは実力でカバーしていけるので、日々レベルアップを図ることが大切なのです。
・体力勝負の着付けの世界
着付け師を長く続けるためには、「体力」がないといけません。
帯揚げや帯締めのときに紐を力強く引っ張っていくときには大きな力を使います。それに、全身を着物で覆っていくため、さまざまな角度や体制から着付けをしなければなりません。どういった姿勢もとれる身体の柔軟さ、そしてその身体を支える筋肉量も必要です。
身体を壊して着付け師を引退する人も多いので、空いている時間を見つけてはストレッチや筋トレしてケガを防止することが大切です。
着付け師になるための適切な学校の選び方
お客さまに信頼される着付け師こそ、着物についての幅広い知識や技術、そしてスキルを持っているといえます。着物についてより多く理解することで、着物選びやコーディネートをしていくときにも役に立ちます。
着付けの専門学校では着物の歴史から着物種類、着物の生地、着付けの種類、小物、生地の染め方など、いろいろなことを学ぶことができます。
知識を学ぶことと同時に、実技の授業も充実していて経験を多く積めるカリキュラムが整った学校を選ぶことも大切なポイントです。
着付けの仕事以外に、着物を販売することにも興味があるといった人は、着物を含めたファッションビジネスを中心に、服飾の流通や製造、マーチャンダイジングなどの専門的な知識を学べる専門学校を選ぶのもおすすめです。
世界を代表する民族衣装である「着物」を、美しく着付けるのが「着付け師」の仕事です。一概に着付けといってもその世界は奥が深く、技術的にも多くのことを習得している着付け師ほど活躍の場が増えていくでしょう。
また、それと同時に着付け師としてのセンスも磨いておくことも大切になります。その時代によって求められる着物の素材や着付け方法も違うので、時代の流れに乗り遅れないようにしながら、一人一人の美しさを引き出すことができる着付けセンスを多く養っていくことが大切なのです。