デザイン性に優れた靴、そして人間工学にもとづく履き心地のいい靴をつくる「靴デザイナー」になるには?
おしゃれなファッションをするのに大事なポイントの一つで、フォーマルなものからカジュアルなものまでデザインや用途もさまざまなアイテム、それが「靴」です。
そして、この日常的に履かれている靴を企画デザインして、商品化させるのが今回ご紹介する「靴デザイナー」の仕事です。
一口に靴をデザインするといっても、靴の種類によって学ぶべき内容が多少なりともちがいます。どのような靴をデザインして製作したいのかを明確にしたうえで、適切な学校選びなどをすることが大切です!
目次
靴デザイナーとは?その仕事内容について
「靴デザイナー」は、アパレル系のなかでもたいへん人気の高い職種だということをご存知ですか。
毎日のように履く靴を、素材やデザインするのが靴デザイナーの仕事です。
◎デザインセンスにプラス人間工学の知識やスキルも必要
最近の靴業界では、見ためが美しくファッション性に優れたハイセンスな靴だけでなくて、長時間履いて歩いても足が痛くなりにくい機能や、消費者の外反母趾や膝痛などの足の状態に合せたオリジナルの靴など、履きやすさや健康面を考慮した斬新的なデザインが主流になりつつあります。
こういった時代ごとに求められる靴のスタイルにつねに敏感に働きかけて、必要とする知識をつねにあわせ持つ能力も靴デザイナーには必要です。
◎ヨーロッパにおける靴職人の地位はとても高い!
靴職人の地位はヨーロッパではもともと高い職業として認められてきましたが、今後日本でもこういった医療的な用途をはじめとした靴を作りだす靴デザイナーの需要が高まっていくでしょう。
靴デザイナーになるには
靴デザイナーになるために絶対必要になる資格や検定はありません。
しかし、靴デザイナーとしてのスキルアップや企業に就職するために有利に働きそうな資格はいくつかあります。
・シューフィッター認定・・・など
シューフィッター認定・・・靴屋さんで実際にお客さまそれぞれの足の形や状態に合わせた靴を選んで、調整ができる「靴のエキスパート」になるための認定です。身体全体を支えている足が一日で受ける衝撃や負担は相当なダメージです。そのダメージを可能な限り抑えるための最適な靴選びができる知識や技術が必要になります。
靴デザイナーに必要な資格や技能の取得難易度
シューフィッター認定の試験を受験するには一般社団法人、足と靴と健康協議会が主催する通信講座を受講します。
定められた必須講座を受講して、修了後に実施する試験の正解率が6割以上であれば資格が認定されます。講座を修了している人は何度でも試験を受けることができます。
シューフィッター認定は、初級のプライマリーと上級のパチェラー、修士のマスターがあり、靴選びのために必要な革やサイズの知識や靴のフィッティング、足の構造や人間工学などに関する専門的な知識を学ぶことができます。
シューフィッター認定の有効期間は3年間なので、その都度更新が必要です。就職先によっては資格保持者に資格手当を出しているところもあるので、積極的に資格を取得しましょう。
靴デザイナーの平均給与はどのくらい?
靴デザイナーの多くは、アパレル系メーカーやシューズメーカーに就職して企業デザイナーとして活躍するのが一般的です。この場合の平均月給は20万円ほどになりますが、スキルアップを目指しながら、デザインした商品の売り上げなどによってはさらなる昇給が見込まれます。
◎メーカー企業と専属契約できれば成果報酬!
そのほか、独自のブランドで活躍する靴デザイナーがデザインした商品が業界で認められれば、メーカー企業と「専属契約」を果たすという道を切り開くことができます。専属契約をすれば、決められた本数のデザインを納期までに仕上げなければならず忙しくなりますが、そのままフリーランスとして成功し、デザインした商品がヒットすればその都度成果報酬がでるので高年収も夢ではありません。
靴デザイナーのやりがいや苦労
靴デザイナーのやりがい
・お客さまに自分の作った靴を履いてもらえたとき!
靴の種類や用途によってさまざまな種類がありますが、丹精込めて製作した靴を「お客さまに履いてもらうこと」はこの上ない喜びであり、苦労も多い仕事への活力にもなります。
・プレッシャーがかかる仕事だからこその充実感!
靴のデザインをはじめ、いろいろな作業を始めから最後までの靴デザイナー自身ですることも多いので、売り上げに関する責任も大きなプレッシャーにはなりますが、その分とても「充実した仕事」ができるのも靴デザイナーになることの魅力です。
・足や靴に問題を抱える人の役に立てたとき!
オシャレでファッション性に優れた靴のほか、最近では健康志向の影響で靴の履き心地や自分の足に合う特注の靴をオーダーメイドするお客さんも増えました。
いままでは靴が足に合わなかったから外出するのが億劫だったという人も、オーダーメイドで作った靴でまた散歩をするようになったということもあります。こういった人の「役に立てる」ということは靴デザイナーの喜びであり、やりがいにもなります。
・医療用の靴を作る靴職人もいる!
足や身体が不自由な人のための専用靴を製作することに特化した靴職人もいます。こういった靴職人は、病院の医師や患者からの指示や希望をリスニングしたうえで、その人に合う最適な運動靴を作ります。
靴デザイナーの苦労や大変なこと
・実力がないと活躍するのは難しい世界
靴デザイナーはアパレル系職業の中でもたいへん人気がある職業です。そのため、靴デザイナーとしての実力が伴っていないとなかなか高い評価を得られないので、いつまで経っても一人前として認めてもらえないこともあります。同じ作業ばかりを続けていれば、充実感を得られないと思い始めますし、給与にも反映されないのでモチベーションを保つことが難しくなります。
・人間工学的に靴を作れるかどうか
最近は、健康面を考慮した靴作りが重要項目とされているため、身体的な構造や靴が与える足への影響などの「人間工学的」に幅広い知識や技術を持っていないと靴デザイナーとして生き残っていくことはむずかしくなるでしょう。
このことからも、靴デザイナーとして企業への就職が決まったあとも、常に靴に関する知識や技術の習得を怠らずに日々努力して仕事の精度を上げることがとても大切なのですね。
・時代の流れやトレンドについていけない
靴は服やアクセサリーと同じように時代の流れやトレンドに影響されやすいため、日々デザインの改良が必要で、今どのような靴が求められているのか、消費者のニーズをしっかり読みとったうえでのデザイン作りが必要です。
靴デザイナーになるための適切な専門学校の選び方!
デザイン性を含め、機能性の面でも靴に関する多くの知識や技術が必要になる靴デザイナーは、デザインについて学べる美大や実践的な授業が多い専門学校にて勉強するのが一般的です。
学校選びをするときに気をつけたいこと
◎靴に特化したカリキュラムがあるか?
専門学校で靴デザイナーの勉強を受けるときには、「靴に特化したカリキュラム」が組まれている学校を選ぶことが大切です。
◎卒業生の就職先実績をみる
すでに将来の目標が靴デザイナーと考えている人は、「卒業生の就職先実績」をよく確認しましょう。靴メーカーや靴の問屋、または独自の靴ブランドをもっている企業メーカーなどへの就職の実績が多い専門学校は、先輩の紹介で就職が有利に働くこともあるからです。
◎学校見学に参加して学校の雰囲気を知る
靴デザイナーになるための学校を選ぶときには、絶対に「学校見学」に参加しましょう。パンプレットだけで見ただけでは分からなかったことも、学校見学にいけば感じることができるはずです。
ヨーロッパでは、靴職人という職種はとても高い地位を築いており、靴一足に非常にこだわりを持つ人が多いという風潮は昔から変わることがない事実のようです。
健康志向の高い現代において、日常的に履く「靴」の重要性はますます高くなっていくはずです。一口に靴といってもデザイン性だけでなく機能性など、いろいろなことを取り入れなければなりません。消費者のニーズに合わせた靴を一から作りだす「靴デザイナー」は需要が高いですし、いまもこれからもアパレル業界で一目置かれる存在であることは間違いないでしょう。